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公開日:2026.09.07 [市況感]

東京23区のアルバイト・パート時給相場【2026年9月・21,055件調査】職種別・23区平均時給ランキング

本記事のテーマに関連するサービスとして、株式会社ネオストナルでは採用支援サービスを提供しています。

東京23区でアルバイト・パートを募集するとき、時給はいくらに設定すればよいのでしょうか。

「時給1,300円でも応募は集まるのか」
「港区や中央区は、ほかの区より時給を上げる必要があるのか」
「2026年10月の最低賃金改定後、現在の募集条件をどう見直すべきか」

こうした疑問に答えるため、株式会社ネオストナルでは、2026年9月1日時点で大手求人広告媒体に掲載されていた東京23区のアルバイト・パート求人を独自に集計しました。

調査対象は、フルリモート求人47件を除く21,055件です。そのうち時給表記があった求人は18,643件で、月給・年収を時給欄に登録したとみられる2万円以上の8件を除き、18,635件の「掲載下限時給」を分析しました。

結論からお伝えすると、東京23区の掲載下限時給は中央値1,400円、平均1,519.6円です。23区の平均時給ランキングでは、荒川区と中央区がともに1,587円、次いで港区が1,577円となりました。

ただし、平均順位をそのまま「その区で一般的に必要な時給」と解釈するのは適切ではありません。医師やナイトワークなどの高額求人と、区ごとの職種構成が平均を押し上げるからです。実際、荒川区の中央値は1,350円で、平均とは237円の開きがあります。

この記事では、東京23区全体、大職種、主要な中職種、23区別の順に時給相場を整理します。さらに、平均と中央値の使い分け、2026年10月の最低賃金改定への対応、応募につながる給与設定まで、採用支援会社の視点から解説します。

調査結果の要点

  • 東京23区全体の掲載下限時給は、中央値1,400円、平均1,519.6円
  • 求人の中央50%は、1,300円から1,540円の間に分布
  • 時給3,000円以上の高額帯435件を除くと、平均は1,467.0円。中央値は1,400円のまま
  • 大職種の中央値は、医療・看護師・薬剤師が1,600円で最も高い
  • 主要中職種では、看護師・准看護師とバー・バーテンダーが2,300円、薬剤師が2,000円、コールセンター・テレオペが1,500円
  • 高掲載数の職種では、その他事務とホームヘルパーが1,400円、保育士・幼稚園教諭と清掃員・掃除が1,350円、キッチンスタッフが1,300円
  • 23区の平均時給ランキングは、荒川区・中央区がともに1,587円、次いで港区が1,577円。ただし高額求人を除くと順位は変わる
  • 2026年10月1日からの東京都最低賃金1,280円に対し、抽出時点で1,280円未満は3,654件、全体の19.6%
  • 採用時給は、23区全体の平均ではなく、同じ中職種・通勤圏・シフト条件の競合から決めることが重要

調査概要と集計ルール

項目内容
抽出日2026年9月1日
対象東京23区のアルバイト・パート求人
データ元大手求人広告媒体の東京23区求人検索結果
抽出求人件数21,055件(フルリモート47件を除外)
時給表記18,643件
異常値として除外8件(時給2万円以上。月給・年収等の誤登録とみられる掲載)
時給分析件数18,635件
その他の給与表記日給2,082件、月給145件、給与記載なし183件、年俸1件、週給1件
職種範囲大手求人広告媒体上の大職種23分類・中職種154分類を巡回
集計する金額掲載下限時給。例:「1,300円~1,600円」は1,300円として集計
職種別件数1求人が複数職種に該当する場合は、それぞれの職種に計上
エリア集計求人の勤務地表記から23区を判定。区を特定できない求人は区ランキングから除外

本調査は、掲載中の求人票に記載された募集条件を分析したものです。実際に働いている人の平均賃金や、採用決定時の時給を示す統計ではありません。同じ企業が店舗別・職種別に複数の原稿を掲載している場合は、それぞれ1件として数えています。

また、本調査は株式会社ネオストナルによる独自集計であり、掲載媒体が公表する公式統計・見解ではありません。求人の掲載・終了・更新により、検索結果と数値は日々変動します。

東京23区のアルバイト・パート時給相場はいくら?

東京23区全体では、掲載下限時給の中央値が1,400円、平均が1,519.6円でした。

指標金額・件数
時給分析件数18,635件
中央値1,400円
平均1,519.6円
求人の中央50%が分布する範囲1,300円~1,540円
最低1,226円
時給3,000円以上435件(2.3%)
3,000円以上を除いた平均1,467.0円

平均1,519.6円を、そのまま採用時給にしない

平均の1,519.6円だけを見ると、東京23区では1,500円台が一般的に見えるかもしれません。しかし、今回のデータには、医師、クラブ・ラウンジ、ガールズバーなど、時給3,000円以上の求人が435件含まれています。

これらは2万円以上の誤登録8件とは異なり、求人票の内容から高額な募集条件と判断できたため、全体平均と区別ランキングには含めています。その一方で、一般的な募集条件を検討しやすいよう、3,000円未満の参考平均も算出しました。

高額帯を除くと、平均は1,519.6円から1,467.0円へ52.6円下がりますが、中央値は1,400円から変わりません。

したがって、採用時給を検討するときは、中央値を基準にし、平均は高額求人や職種構成の影響を確認する補助指標として使うのが適切です。

1,280円・1,300円・1,400円の市場内ポジション

掲載下限時給今回のデータ上の位置づけ
1,226円829件、全体の4.4%が抽出日時点の最低賃金と同額
1,280円未満3,654件、全体の19.6%
1,300円求人の中央50%が始まる水準。市場全体では低い方に位置する
1,400円東京23区全体の中央値
1,500円以上6,721件、全体の36.1%
1,540円求人の中央50%が終わる水準。これを上回ると市場全体では高い方に位置する
2,000円以上1,844件、全体の9.9%

時給1,300円は、抽出日時点の最低賃金1,226円より74円高いものの、市場全体では低い方に位置する水準です。さらに、2026年10月以降は新しい最低賃金1,280円との差が20円しかありません。

一方、1,400円は東京23区全体の中央値です。ただし、看護師の1,400円とキッチンスタッフの1,400円では、同じ金額でも市場競争力が異なります。実際の募集では、後述する中職種別の相場を優先してください。

東京都最低賃金1,280円への改定で、求人票はどう変わる?

東京都の最低賃金は、2026年10月1日から1時間1,280円へ引き上げられます。従来の1,226円から54円の引き上げです。詳細は東京労働局「東京都最低賃金を1,280円に引上げます」をご確認ください。

今回の調査は改定前の2026年9月1日時点です。掲載下限時給が1,280円未満だった求人は3,654件で、時給分析対象の19.6%を占めました。抽出時点では直ちに違法という意味ではありませんが、10月1日以降も雇用・掲載を続ける場合は、適用対象となる賃金と求人票の見直しが必要です。

採用担当者が確認すべきポイントは、最低賃金を1,280円に書き換えることだけではありません。

  • 研修期間中の時給も1,280円以上になっているか
  • 最低賃金との比較対象に含まれない割増賃金や手当を除いても、1,280円を満たしているか
  • 求人媒体、自社採用サイト、店頭ポスターの金額が一致しているか
  • 雇用契約書、給与計算、既存スタッフの時給も更新されているか
  • 近隣企業も一斉に改定する中で、自社の「最低賃金との差」が縮んでいないか

特に重要なのが最後の点です。時給1,300円は、改定前には最低賃金より74円高い条件でしたが、改定後の差は20円です。法令を満たしていても、求職者から見た相対的な魅力は弱くなる可能性があります。

大職種別の時給相場

大職種23分類の掲載下限時給を、中央値が高い順に並べました。同じ中央値の場合は、時給あり件数が多い職種を先に掲載しています。

大職種時給あり件数中央値平均
医療・看護師・薬剤師1,944件1,600円1,766円
マーケティング・広告・宣伝433件1,500円1,560円
IT・Web・ゲームエンジニア142件1,500円1,554円
旅行・レジャー・イベント1,904件1,450円1,745円
エンジニアリング・設計開発48件1,410円1,546円
経営・事業企画・人事・事務3,334件1,400円1,440円
介護・福祉1,530件1,400円1,434円
メディア・クリエイター365件1,400円1,487円
金融・財務・会計140件1,400円1,486円
建設・土木・施工121件1,400円1,506円
警備・保安224件1,385円1,394円
飲食・フードサービス4,291件1,350円1,554円
営業・販売3,110件1,350円1,412円
保育士・教員・講師2,164件1,350円1,442円
倉庫・物流管理1,116件1,350円1,400円
ビューティー・生活サービス1,101件1,350円1,435円
ドライバー・引越し・配送889件1,350円1,411円
整備・修理489件1,350円1,404円
研究17件1,350円1,439円
清掃・美化1,097件1,330円1,377円
製造・工場296件1,300円1,365円
法務・法律33件1,300円1,398円
農林漁業16件1,250円1,295円

資格職の相場は高い。一方、大職種だけでは採用時給を決められない

大職種で最も中央値が高かったのは、医療・看護師・薬剤師の1,600円です。看護師や薬剤師など、資格保有者に採用対象が限られる中職種を含むため、全体相場を上回っています。

次いで、マーケティング・広告・宣伝とIT・Web・ゲームエンジニアが1,500円、旅行・レジャー・イベントが1,450円でした。

一方、飲食・フードサービスは中央値1,350円に対し、平均1,554円です。バー・バーテンダーに高額なナイトワーク求人が含まれ、平均を押し上げています。旅行・レジャー・イベントも、中央値1,450円と平均1,745円の開きが大きく、同様の影響が見られます。

研究17件、農林漁業16件、法務・法律33件、エンジニアリング・設計開発48件などは母数が小さく、この数値だけで東京23区全体の相場と断定できません。

また、同じ飲食でも、キッチン、ホール、給食調理、バーでは仕事内容と勤務時間帯が異なります。同じ事務系でも、一般事務とコールセンターでは採用競争の相手が変わります。

大職種は市場を把握する入口として使い、採用時給は中職種まで下げて判断するのが基本です。

主要な中職種別の時給相場

中職種別集計から、時給求人が比較的多い職種、採用実務で比較されやすい職種、相場差を確認しやすい職種を32分類抜粋しました。

中央値1,400円以上の主要中職種

中職種大職種時給あり件数中央値平均
バー(BAR)・バーテンダー飲食・フードサービス749件2,300円2,332円
看護師・准看護師医療・看護師・薬剤師572件2,300円2,223円
薬剤師医療・看護師・薬剤師129件2,000円1,890円
歯科医・歯科技工士医療・看護師・薬剤師32件2,000円2,078円
その他旅行・レジャー・イベント旅行・レジャー・イベント928件1,600円2,062円
営業営業・販売423件1,600円1,625円
家庭教師保育士・教員・講師278件1,600円1,631円
テレフォンアポインター(テレアポ)営業・販売199件1,600円1,707円
ケアマネジャー(介護支援専門員)介護・福祉57件1,510円1,556円
コールセンター・テレオペ経営・事業企画・人事・事務732件1,500円1,552円
その他マーケティング・広告・宣伝マーケティング・広告・宣伝409件1,500円1,562円
学習塾・予備校講師保育士・教員・講師311件1,500円1,546円
家電量販店・携帯販売(携帯ショップ)営業・販売200件1,500円1,519円
小型トラックドライバー・引越し・配送158件1,477.5円1,493円
その他事務経営・事業企画・人事・事務2,336件1,400円1,423円
ホームヘルパー(訪問介護等)介護・福祉1,036件1,400円1,426円
ホテルスタッフ(フロント等)旅行・レジャー・イベント449件1,400円1,412円
警備員警備・保安152件1,400円1,398円

中央値1,400円未満の主要中職種

中職種大職種時給あり件数中央値平均
その他交通・運輸ドライバー・引越し・配送732件1,365円1,418円
ホールスタッフ飲食・フードサービス951件1,360円1,480円
保育士・幼稚園教諭保育士・教員・講師1,085件1,350円1,385円
その他倉庫・物流倉庫・物流管理1,030件1,350円1,394円
受付経営・事業企画・人事・事務1,002件1,350円1,398円
清掃員・掃除清掃・美化812件1,350円1,389円
医療事務医療・看護師・薬剤師442件1,350円1,394円
給食調理飲食・フードサービス411件1,350円1,391円
バイク便・デリバリードライバー・引越し・配送405件1,350円1,390円
介護助手介護・福祉245件1,350円1,403円
キッチンスタッフ飲食・フードサービス1,165件1,300円1,354円
アパレル営業・販売624件1,300円1,334円
ピッキング倉庫・物流管理112件1,300円1,340円
コンビニ営業・販売289件1,280円1,347円

同じ「事務」「飲食」でも、100円以上の差がある

その他事務の中央値は1,400円、コールセンター・テレオペは1,500円、テレアポは1,600円です。

コールセンターを一般的な事務職の相場で判断し、時給1,400円に設定すると、東京23区全体では中央値でも、コールセンター市場では中央値を100円下回ります。電話対応の難易度、発信・受信の別、営業要素、クレーム対応、研修期間などをそろえて比較する必要があります。

飲食でも、キッチンスタッフは1,300円、ホールスタッフは1,360円、バー・バーテンダーは2,300円でした。ただし、バー・バーテンダーにはガールズバーやラウンジなどの高額なナイトワーク求人が多く含まれます。一般的なバー業務の採用条件へ、2,300円をそのまま当てはめるべきではありません。

「その他旅行・レジャー・イベント」も、中央値1,600円に対して平均2,062円です。「その他」と付く分類は仕事内容の幅が広いため、個別原稿まで確認しなければ競合相場を判断できません。

コンビニの中央値1,280円は、2026年10月からの東京都最低賃金と同額です。最低賃金改定によって同水準の求人が増えれば、給与だけで差をつけることが難しくなります。早朝・深夜加算、シフトの柔軟性、業務範囲、研修体制などを具体的に示すことが必要です。

東京23区の平均時給ランキング

23区ごとの掲載下限時給を、平均が高い順に並べました。平均だけでは高額求人の影響を見誤りやすいため、中央値と、時給3,000円以上を除いた参考平均も併記しています。

順位時給あり件数平均中央値参考:3,000円未満の平均
1荒川区204件1,587円1,350円1,463円
2中央区1,170件1,587円1,400円1,477円
3港区1,737件1,577円1,400円1,505円
4目黒区500件1,561円1,400円1,485円
5江戸川区673件1,554円1,350円1,474円
6新宿区1,799件1,547円1,400円1,500円
7杉並区593件1,542円1,360円1,484円
8世田谷区1,078件1,534円1,350円1,463円
9北区400件1,530円1,385円1,462円
10練馬区649件1,525円1,360円1,488円
11豊島区899件1,520円1,400円1,469円
12足立区874件1,514円1,355円1,473円
13中野区384件1,505円1,370円1,482円
14渋谷区1,272件1,497円1,400円1,457円
15葛飾区401件1,495円1,335円1,475円
16品川区762件1,495円1,400円1,456円
17大田区1,025件1,490円1,400円1,455円
18板橋区614件1,480円1,340円1,443円
19千代田区1,111件1,473円1,400円1,433円
20台東区548件1,468円1,350円1,426円
21江東区1,051件1,466円1,350円1,420円
22文京区435件1,462円1,350円1,446円
23墨田区445件1,434円1,350円1,434円

※勤務地が「東京都東京23区」までしか記載されず、区を特定できない時給求人11件はランキングから除外しています。平均・中央値はいずれも掲載下限時給です。平均は小数点以下を四捨五入しており、順位は丸める前の数値を基にしています。

1位の荒川区を「最も時給が高い区」と断定できない理由

荒川区は平均1,587円で1位ですが、中央値は1,350円です。時給3,000円以上の求人14件を除くと、参考平均は1,463円まで124円下がります。

時給求人204件のうち高額帯14件が平均へ強く影響した結果であり、荒川区の一般的な求人すべてに1,587円前後が必要という意味ではありません。

中央区も平均1,587円に対して中央値1,400円で、高額帯を除く参考平均は1,477円です。一方、港区は高額帯を除いても1,505円、新宿区は1,500円でした。一般的な求人群の水準を見る限り、港区と新宿区の高さは比較的残っています。

23区の平均は1,434円から1,587円まで153円の差がありますが、中央値は1,335円から1,400円まで65円の範囲です。平均順位の差には、所在地だけでなく、その区にどの職種が多く掲載されているかが強く反映されています。

「平均時給ランキング」と「自社が提示すべき時給」は別物です。採用実務では、区全体の順位より、同じ中職種の相場を優先してください。

同じ中職種で比べると、区による差が見える

区別の全職種平均は、医療職、オフィス職、飲食職、ナイトワークなどの掲載比率に左右されます。より実務的なのは、同じ中職種の中で区を比べる方法です。

時給求人が20件以上ある区に絞って比較すると、次の差が確認できました。

中職種高い区の例低い区の例中央値の差
コールセンター・テレオペ新宿区1,600円・161件江東区1,425円・22件175円
ホテルスタッフ(フロント等)千代田区1,475円・44件新宿区1,300円・53件175円
その他事務港区1,450円・304件板橋区1,291円・57件159円
保育士・幼稚園教諭新宿区1,453円・35件世田谷区1,300円・101件153円
清掃員・掃除港区1,400円・99件杉並区1,270円・21件130円
キッチンスタッフ港区1,400円・131件板橋区1,275円・36件125円

この差を所在地だけで説明することはできません。駅からの距離、勤務時間、深夜・早朝勤務、資格要件、経験、業務負担、求人を出している企業の構成も異なるからです。

ただし、同じ東京23区でも、求職者が実際に比較する職種・通勤圏によって競合条件が変わることは分かります。区の平均より、同じ職種、同じ沿線、似たシフトの求人を20~30件確認する方が、採用時給の判断精度は高まります。

福岡市と比べると、東京23区の時給はどれくらい高い?

同じ2026年9月1日時点・同じ掲載下限時給の集計方法で、福岡市の時給相場と比較しました。

職種・指標東京23区福岡市
全体中央値1,400円1,200円+200円
看護師・准看護師2,300円1,970円+330円
コールセンター・テレオペ1,500円1,300円+200円
清掃員・掃除1,350円1,150円+200円
キッチンスタッフ1,300円1,135円+165円
ホールスタッフ1,360円1,200円+160円
ホームヘルパー(訪問介護等)1,400円1,298円+102円
薬剤師2,000円2,000円0円

全体中央値では東京23区が200円高い一方、差は職種によって0円から330円まで開きました。地域全体の差を一律に足し引きするのではなく、同じ職種で比較する必要があります。

薬剤師のように地域差が確認できなかった職種もあります。資格者の供給、勤務日数、処方科目、調剤経験など、地域以外の要因が強い職種では、全国相場や個別要件まで見るべきです。

採用担当者は時給をどう決めるべきか

時給相場は、正解の金額を一つ示すものではありません。採用したい人、任せる仕事、勤務場所、シフト、採用期限によって、自社が取るべき位置は変わります。

1.最低賃金と改定日を最初に確認する

2026年10月1日以降、東京都の最低賃金は1,280円です。研修時給を含め、適用対象となる賃金が最低額を下回らないことが大前提です。

求人掲載中に最低賃金が変わる場合は、媒体の原稿だけでなく、自社採用サイト、雇用契約書、既存スタッフの給与設定まで同時に確認してください。

2.大職種ではなく、中職種の中央値を基準にする

最初の市場基準は、東京23区全体の1,400円ではなく、自社と同じ中職種の中央値です。

たとえば、コールセンター・テレオペなら1,500円、その他事務なら1,400円、キッチンスタッフなら1,300円、看護師・准看護師なら2,300円が今回の基準になります。

媒体上のカテゴリ名だけでなく、実際の仕事内容が近い求人を確認し、資格、経験、時間帯、業務量をそろえてください。

3.同じ区ではなく、実際の通勤圏で競合を絞る

求職者は、23区を行政区だけで比較しているとは限りません。

学生なら学校や自宅からの沿線、主婦・主夫なら送迎を含む生活圏、Wワーカーなら本業先からの移動時間が重要です。隣の区でも1駅なら競合になり、同じ区でも乗り換えが多ければ比較対象にならないことがあります。

区別ランキングを入口にしつつ、駅名、沿線、徒歩分数、勤務時間帯で競合を絞り込むことが必要です。

4.中央値・上位25%・下位側のどこを狙うか決める

急募、早朝・深夜、短時間、資格必須、重い業務負担など、応募対象が狭くなる条件では、中央値と同額でも十分とは限りません。

反対に、駅直結、固定シフトなし、まかない、交通費全額支給、業務範囲が明確など、求職者にとって強い条件があれば、給与以外でも競争力を作れます。

「相場はいくらか」だけでなく、自社は同一職種の中央値を取るのか、上位25%を狙うのかを、採用期限と予算から決めます。

5.求人票では「上限」より「下限」が比較される

「時給1,300円~1,800円」と表示していても、未経験者が1,300円から始まるなら、求職者にとっての比較基準は1,300円です。

上限に到達する条件が曖昧なまま高い数字だけを強調すると、応募後の認識ずれや辞退につながります。昇給幅を魅力として伝える場合は、次の情報を具体化してください。

  • 入社時の基本時給
  • 研修中の時給と研修期間
  • 土日祝、早朝、深夜の加算額
  • インセンティブの条件
  • どの業務を習得すると、いつ時給が上がるのか
  • 既存スタッフの昇給例

6.時給を100円上げる費用と、欠員コストを比べる

1日5時間・月16日勤務するスタッフの時給を100円上げると、単純な賃金差は1人あたり月8,000円です。

この8,000円を人件費だけで判断せず、次の費用や損失と比較します。

  • 求人広告を繰り返し掲載する費用
  • 店長や社員が欠員を埋める残業時間
  • 営業時間の短縮や受注制限による機会損失
  • 採用できない期間に現場へかかる負担
  • 条件不一致による早期離職と再採用の費用

ただし、時給を上げれば必ず応募が増えるわけではありません。仕事内容が分かりにくい、シフト条件が厳しい、応募後の連絡が遅い場合は、給与以外がボトルネックになっています。

7.応募数だけでなく、採用歩留まりで検証する

時給や求人原稿を変更した後は、応募数だけでなく、採用工程ごとの数字を確認します。

採用工程数字が低いときに確認すること
求人の表示職種名、検索キーワード、勤務地、媒体選定
クリック給与、タイトル、写真、冒頭の訴求
応募シフト、仕事内容、必須条件、応募方法
応募後の連絡連絡速度、連絡手段、返信しやすい文面
面接設定・実施日程候補、面接案内、前日連絡、変更のしやすさ
採用・定着面接時の説明、入社後の仕事内容、教育体制

表示回数とクリック率は上がったのに応募率が変わらない場合は、給与以外の条件や求人原稿に課題がある可能性があります。応募は来るものの面接につながらない場合は、時給をさらに上げる前に、応募後対応や面接日程の設定方法を見直すべきです。

時給を上げにくい企業が見直すべきこと

原資の都合で、競合より高い時給を設定できない場合もあります。そのときは「アットホーム」「未経験歓迎」といった抽象語ではなく、求職者が比較できる条件を作ります。

  • 週2日、1日3時間から勤務できる
  • 平日のみ、土日のみを選べる
  • シフト提出の締切日と確定日を明記する
  • 交通費を全額支給する
  • 食事補助、社割、資格手当を具体的な金額で示す
  • 業務を分解し、未経験者が担当する範囲を明確にする
  • 研修期間と独り立ちまでの流れを示す
  • 応募時の履歴書を不要にする
  • オンライン面接や夜間面接に対応する
  • 応募当日中に連絡する体制を作る

重要なのは、時給の弱さを雰囲気の良さだけで埋めようとしないことです。

求職者が「自分の生活に合う」「未経験でも始められる」「負担に見合う」と判断できる情報を、求人票の前半で具体的に伝える必要があります。

まとめ|東京23区の時給中央値は1,400円。採用時給は中職種と通勤圏から決める

2026年9月1日時点の東京23区のアルバイト・パート求人21,055件を調査し、異常値を除く時給求人18,635件を分析した結果、掲載下限時給は中央値1,400円、平均1,519.6円でした。

大職種の中央値は、医療・看護師・薬剤師1,600円、マーケティング・広告・宣伝とIT・Web・ゲームエンジニア1,500円、飲食・フードサービス1,350円でした。

中職種では、看護師・准看護師2,300円、コールセンター・テレオペ1,500円、その他事務1,400円、清掃員・掃除1,350円、キッチンスタッフ1,300円と差があります。

23区の平均ランキングは荒川区、中央区、港区の順でしたが、高額求人を除くと順位は変わります。区の平均だけで採用時給を決めるのではなく、同じ中職種、駅・沿線、シフト、資格、業務負担までそろえて比較することが重要です。

採用時給を決める順番は、次のとおりです。

  1. 最低賃金と改定日を確認する
  2. 同じ中職種の中央値を基準にする
  3. 同じ駅・沿線・通勤圏の競合を確認する
  4. シフト、資格、経験、業務負担をそろえて比較する
  5. 中央値・上位25%・下位側のどこを狙うか決める
  6. 公開後は応募数だけでなく、採用歩留まりを検証する

株式会社ネオストナルでは、特定の求人媒体を売ることを前提にせず、採用ターゲット、職種・エリア相場、求人原稿、媒体選定、応募後対応、面接、定着までを整理し、企業内に採用ノウハウが残る仕組みづくりを支援しています。

「最低賃金改定後の時給設定に迷っている」
「競合より時給を高くしても応募が増えない」
「求人媒体を増やす前に、採用のどこが詰まっているか整理したい」

という企業様は、採用支援サービスをご覧いただくか、採用力無料診断をご活用ください。具体的な採用課題を相談したい場合は、お問い合わせフォームから初回60分の無料相談をお申し込みいただけます。

※本記事の集計は、大手求人広告媒体の掲載求人を株式会社ネオストナルが独自に分析したものであり、掲載媒体が公表する公式統計・見解ではありません。掲載内容は2026年9月1日時点のスナップショットであり、求人の追加・終了・更新により変動します。金額は求人票に記載された掲載下限時給で、実際の平均賃金や採用時の支給額を示すものではありません。

この記事を書いた人

宮原健太

宮原健太

役職:代表取締役

経験:約4年間、求人広告代理店にて営業・広告運用・制作業務、および採用RPO・BPO業務に従事。大手〜中小企業など幅広く100社ほどの企業の採用を担当

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