「近い条件の求人が多くて、なかなか応募が来ない」
「競合他社より給与を上げないと応募は難しいのでしょうか」
「求職者は求人を比較する時、何を見ているのでしょうか」
採用活動をしていると、このようなご相談をいただくことがあります。
求人広告を出す時、企業側は自社の求人だけを見てしまいがちです。しかし、求職者は一つの求人だけを見て応募を決めているわけではありません。
同じエリアの求人。
同じ職種の求人。
同じ勤務時間の求人。
同じ給与帯の求人。
似たような未経験歓迎の求人。
こうした求人を比較しながら、「どこに応募するか」を決めています。
企業側から見る競合は同業他社かもしれません。しかし、求職者から見る競合は必ずしも同業他社だけではありません。通勤圏内で、同じような給与、同じような勤務時間、同じような負担感の仕事すべてが比較対象になります。
この記事では、求職者が求人を比較する時に見ている項目と、競合求人に負けないための考え方をお伝えします。
求職者は複数の求人を比較している
求職者は、求人サイトや求人検索エンジンで複数の求人を見ています。
アイデムの2025年7月調査では、求人応募前に「複数の求人サイトで同じ企業の求人を探す」と回答した人が27.0%いました。これは、求職者が一つの求人媒体だけで判断していないことを示しています。
また、会社名検索や口コミ確認をする人もいます。求人票で興味を持った後、別の媒体で同じ会社の求人を見たり、ホームページや口コミを確認したりして、応募するかどうかを決めているということです。
つまり、求人は単体で見られているのではなく、比較されている前提で考える必要があります。
比較されるのは給与だけではない
求人比較というと、給与が一番見られると思われがちです。もちろん給与は重要です。
dodaの2025年転職理由ランキングでは、「給与が低い・昇給が見込めない」が5年連続で1位となっており、回答割合は36.6%でした。給与や昇給は、転職理由として大きな要素です。
ただし、求職者が比較しているのは給与だけではありません。同じ調査では、「労働時間に不満」が26.3%、「個人の成果で評価されない」が22.8%、「社内の雰囲気が悪い」が20.7%、「人間関係が悪い/うまくいかない」が20.2%と、働き方・評価・人間関係に関する理由も上位に入っています。
つまり、求職者は給与と同時に、働き方、評価、雰囲気、人間関係も比較しています。
求職者が比較している主な項目
求職者が求人を比較する時に見ている項目を整理すると、以下のようになります。
| 比較項目 | 求職者が見ていること | 競合に負けやすい状態 |
|---|---|---|
| 給与 | 相場より低くないか、手当はあるか | 月給・時給だけで内訳が不明 |
| 勤務地 | 通いやすいか、交通費は出るか | 駅からの距離や駐車場情報がない |
| 勤務時間 | 生活と合うか、残業はあるか | 実際の残業やシフト例が不明 |
| 休日 | 無理なく続けられるか | 休日数や希望休の取り方が曖昧 |
| 仕事内容 | 自分にできそうか | 抽象的で働くイメージが湧かない |
| 職場環境 | 人間関係は大丈夫か | 写真やスタッフ情報がない |
| 会社情報 | 信頼できるか | ホームページや採用ページが弱い |
| 応募後の流れ | 面倒ではないか | 面接回数や連絡時期が分からない |
この中で、給与だけを改善しようとすると採用コストが上がりやすくなります。
中小企業に必要なのは、給与以外の比較項目でも選ばれる状態を作ることです。
競合求人に負ける求人の特徴
競合求人に負けやすい求人には共通点があります。
まず、仕事内容が曖昧です。「軽作業」「事務」「営業」「接客」といった言葉だけでは、求職者は比較しにくくなります。同じ給与帯の求人が並んでいた時、仕事内容が具体的な求人の方が安心して応募されやすいです。
次に、条件の見せ方が弱いです。たとえば、時給や月給だけでなく、月収例、手当、昇給、交通費、残業代、試用期間中の条件まで書かれている求人は比較されやすくなります。
また、職場の雰囲気が伝わらない求人も不利になります。求職者は、給与や仕事内容が近い求人なら「働きやすそうな方」を選びます。写真、スタッフの声、教育体制、職場人数などがあるだけで印象は変わります。
競合求人に勝つために考えるべきこと
競合求人に勝つためには、無理に条件を良く見せる必要はありません。
大切なのは、自社が求職者に選ばれる理由を整理することです。
給与で勝てないなら、働き方で勝てないか。
休日で勝てないなら、教育体制で勝てないか。
知名度で勝てないなら、職場の雰囲気で勝てないか。
福利厚生で勝てないなら、柔軟な相談のしやすさで勝てないか。
中小企業には、中小企業ならではの強みがあります。
社長や上司との距離が近い。
未経験でも近い距離で教えてもらえる。
転勤がない。
地元で長く働ける。
意見が通りやすい。
シフトや休みの相談がしやすい。
こうした強みは、求人票に書かなければ求職者には伝わりません。
元求人広告代理店の目線で見る比較対策
求人広告代理店時代に感じていたのは、採用がうまい会社ほど、求職者が比較する前提で求人を作っているということです。
単に「仕事内容」「給与」「休日」を並べるのではなく、求職者が迷うポイントに先回りして答えています。
たとえば、未経験者向けなら「最初に任せる仕事」「研修の流れ」「先輩のサポート」を書く。主婦・主夫層向けなら「シフト相談」「扶養内勤務」「急な休みへの理解」を書く。経験者向けなら「裁量」「評価制度」「給与の上がり方」を書く。
誰に向けた求人なのかによって、競合との比較ポイントは変わります。

まとめ
求職者は、求人を一つだけ見て応募を決めているわけではありません。
給与、勤務地、勤務時間、休日、仕事内容、職場環境、会社情報、口コミ、応募後の流れまで比較しながら応募先を選んでいます。
競合求人に負けないためには、給与だけで勝負するのではなく、自社で働く理由を分かりやすく伝えることが大切です。
求人比較で選ばれる求人にしたい、競合求人に負けている原因を整理したい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
元求人広告代理店の目線で、媒体選定・求人原稿・応募後対応まで一緒に整理していければと思います。
