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求人を出す前、人事と現場で打ち合わせをしたはずなのに、面接が始まると話が変わることがあります。
人事は「未経験でも育成できる人」を集めたつもりだった。
現場は「できれば経験者がよかった」と言う。
求人には「人柄重視」と書いた。
面接では「実務経験が足りない」と見送られる。
このズレは、採用現場でかなり起きやすい問題です。
応募者が悪いわけでも、現場が厳しすぎるわけでも、人事の原稿が悪いわけでもない場合があります。原因は、採用ターゲットの認識が面接前にそろっていないことです。
採用ターゲットとは、今回の採用で本当に来てほしい人物像のことです。年齢や経験だけではなく、仕事内容に合うか、勤務条件に合うか、どの程度育成できるか、どんな働き方を望んでいる人かまで含めて考える必要があります。
求人が多い環境では、企業側が「良い人を選ぶ」だけではなく、求職者からも比較されています。厚生労働省の令和8年6月分の一般職業紹介状況では、有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.16倍でした。採用ターゲットが曖昧なままだと、求人も面接もぼやけやすくなります。
採用ターゲットがズレる一番の原因
採用ターゲットがズレる一番の原因は、「欲しい人」の言葉が抽象的なまま進むことです。
明るい人。
責任感がある人。
コミュニケーション力がある人。
長く働いてくれる人。
現場に合う人。
成長意欲がある人。
どれも大切な要素です。
ただ、この言葉だけでは、人によって解釈が変わります。
たとえば「コミュニケーション力がある人」と言っても、営業職なら初対面の相手と会話を広げる力かもしれません。事務職なら社内で正確に報告・相談できる力かもしれません。介護職なら利用者様やご家族に丁寧に接する力かもしれません。
同じ言葉でも、職種によって求める中身は違います。
ここを分解しないまま求人を出すと、人事は広く応募を集め、現場は面接で厳しく見送るという状態になります。
人事と現場でズレやすいポイント
採用ターゲットのズレは、主に次の部分で起きます。
| ズレる項目 | 人事側の認識 | 現場側の認識 |
|---|---|---|
| 経験 | 未経験でも応募を広げたい | 本音では経験者が助かる |
| スキル | 入社後に覚えればよい | 最初からある程度できてほしい |
| 人物像 | 人柄重視で集めたい | 現場の忙しさに耐えられる人がよい |
| 勤務条件 | 応募を増やすため柔軟にしたい | 実際は特定曜日・時間が必要 |
| 教育体制 | 先輩が教える前提 | 現場にそこまで余裕がない |
| 年齢層 | 幅広く見たい | 現場は近い年代を想定している |
この表を見ると分かるように、ズレは「求人公開後」ではなく「求人作成前」に生まれています。
面接で初めて発覚するから問題が大きく見えるだけです。
面接前に整理すべき5つのこと
採用ターゲットのズレを防ぐには、面接前に次の5つを整理します。
1つ目は、入社初日から必要な条件です。
たとえば、普通自動車免許、夜勤対応、特定資格、基本的なPC操作など、ないと業務に支障が出る条件です。
2つ目は、入社後に育成できる条件です。
業界知識、社内システムの使い方、商品知識、接客トーク、現場の流れなどは、入社後に教えられる場合があります。
3つ目は、歓迎条件です。
あれば評価するが、なくても採用できる条件です。ここを必須条件と混ぜると、応募対象者が一気に狭くなります。
4つ目は、現場で活躍している人の特徴です。
実際に定着している人、評価されている人、現場から信頼されている人には共通点があります。そこから逆算すると、現実的なターゲットが見えやすくなります。
5つ目は、早期離職した人のズレです。
仕事内容の理解不足だったのか、勤務条件のミスマッチだったのか、人間関係なのか、教育不足なのか。ここを見ると、求人や面接で事前に伝えるべき情報が分かります。
求人原稿と面接評価をつなげる
採用ターゲットを整理したら、それを求人原稿だけでなく面接評価にもつなげる必要があります。
求人では「未経験歓迎」と書いているのに、面接では経験者前提の質問ばかりする。
求人では「人柄重視」と書いているのに、評価基準はスキル中心になっている。
求人では「教育体制あり」と書いているのに、現場は即戦力を期待している。
この状態では、応募者とのズレも起きます。
厚生労働省は、公正な採用選考について、面接では職務遂行に必要な適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めることが重要だと示しています。採用ターゲットを決めたら、面接で何を確認するかまでセットで設計する必要があります。
現場とのすり合わせで使える質問
現場と採用ターゲットを合わせるときは、次の質問が使いやすいです。
| 質問 | 確認できること |
|---|---|
| 入社初日からできないと困ることは何ですか | 必須条件 |
| 3か月後にできていればよいことは何ですか | 育成可能条件 |
| 過去に活躍した人の共通点は何ですか | 定着・活躍要素 |
| 早期離職した人はどこが合いませんでしたか | ミスマッチ要因 |
| 面接で絶対に確認したいことは何ですか | 評価項目 |
| 逆に、入社後に教えられることは何ですか | 条件緩和ポイント |
この質問をするだけで、「良い人」という曖昧な言葉を具体化できます。
まとめ

採用ターゲットが現場とズレる理由は、求人を出す前に人物像を十分に言語化できていないことにあります。
人事は応募を集めたい。
現場は業務を回せる人がほしい。
経営層は早く採用したい。
それぞれの立場は間違っていません。
ただ、認識がズレたまま進めると、応募は来ても面接で通らない、現場から良い人がいないと言われる、求人原稿を何度直しても成果が出ないという状態になります。
面接前に、必須条件、歓迎条件、育成可能条件、活躍人材の特徴、早期離職の原因を整理することが大切です。
採用ターゲットのズレをなくしたい企業様は、求人を出す前に、人事と現場で「誰を採るのか」を一度言葉にしてみてください。そこが整うだけで、求人原稿、面接質問、評価基準まで一貫しやすくなります。
