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忙しい方へ|この記事の結論
この記事でわかること
アルバイトを採用しているのに人手不足が解消しない原因は、採用人数と実際に必要な人員配置が一致していないことにあるかもしれません。店舗運営に必要なのは、単に従業員の人数を増やすことではなく、必要な曜日・時間帯に、必要な業務を担当できる人材を確保することです。
例えば、平日昼間のスタッフが増えても、土日の繁忙時間帯や夕方以降のシフトが埋まらなければ、現場の負担は改善しません。週全体の労働時間が足りていても、時間帯によって人員不足が発生するケースもあります。
本記事では、アルバイトを採用しても人手不足が続く理由を整理し、不足シフトの把握方法から必要人数の算定、募集条件の設計まで、店舗責任者や人事担当者が実践できる方法を解説します。
アルバイトを採用しても人手不足が続くのはなぜか
在籍人数と実際に勤務できる人数は異なる
アルバイト採用でよくある問題の一つが、在籍人数を基準に人員の充足状況を判断してしまうことです。
例えば、アルバイトが15名在籍する飲食店でも、全員が希望する曜日や時間帯に勤務できるとは限りません。平日昼間に勤務できるスタッフが10名いても、土曜日の夜に勤務できるスタッフが2名しかいなければ、その時間帯は人員不足になる可能性があります。
さらに、学生アルバイトは授業や試験、主婦・主夫層のスタッフは家庭の事情などによって勤務できる時間帯が変化することがあります。こうした勤務条件を考慮せずに在籍人数だけで判断すると、必要なシフトと実際の勤務可能時間に差が生じます。
つまり、店舗の人手不足を判断する際は「アルバイトが何名いるか」ではなく、「必要な曜日・時間帯に何名配置できるか」を確認する必要があります。
人手不足の背景にはシフト運用の問題もある
厚生労働省の「令和8年版 労働経済の分析」によると、2025年は企業の人手不足感が全産業で高止まりしており、特に宿泊・飲食サービス業などで高い水準となっています。
一方、同白書が引用する2025年11月の労働経済動向調査では、2025年7〜9月期に「労働者が不足している部門等がある」と回答した事業所は81%でした。これは雇用形態を限定しない事業所全体の調査結果ですが、人材確保が企業の継続的な課題であることを示しています。
ただし、現場で感じる人手不足が、すべて採用人数の不足によって発生しているとは限りません。
採用した人材の勤務希望が特定の時間帯に集中している場合や、シフトの組み方によって人員配置に偏りが生じている場合、追加採用だけでは問題を解消できないことがあります。
採用活動を始める前に、現在の人員配置を見直し、本当に不足している勤務時間と業務を明確にすることが重要です。
総労働時間が足りていても、繁忙時間帯に人手不足が発生する
【比較例】必要240人時・配置240人時でも、週20人時が不足するケース
アルバイトの人手不足を正しく把握するには、人数だけでなく、時間帯別の必要配置と実際の配置を比較する必要があります。
例えば、ある飲食店で1週間に必要な労働時間が240人時あり、現在のスタッフも合計240人時のシフトに入っているとします。
週全体の労働時間だけを見ると人員は足りています。しかし、曜日・時間帯別に分けると、次のような状況になっている場合があります。
| 曜日・時間帯 | 必要な配置時間 | 実際の配置時間 | 過不足 |
|---|---|---|---|
| 平日昼間 | 90人時 | 110人時 | +20人時 |
| 平日夕方・夜間 | 50人時 | 40人時 | -10人時 |
| 土日昼間 | 60人時 | 52人時 | -8人時 |
| 土日夕方・夜間 | 40人時 | 38人時 | -2人時 |
| 合計 | 240人時 | 240人時 | 差し引き0人時 |
※数値は説明用の仮想例です。各区分は重複しない時間帯として集計しています。
この店舗では、合計の配置時間は足りていますが、平日夕方・夜間と土日に合計20人時の不足があります。一方で、平日昼間には20人時の余剰が発生しています。
仮にアルバイトを2名採用しても、その2名が平日昼間しか勤務できなければ、不足している時間帯の人員は増えません。むしろ、人件費だけが増加する可能性があります。
まず検討すべきなのは、既存スタッフの勤務時間を不足している時間帯へ調整できるかという点です。
ただし、スタッフそれぞれの希望や労働契約上の条件があるため、すべての時間を自由に移動できるわけではありません。
勤務調整が難しい場合に初めて、平日夕方・夜間や土日に勤務できる人材を採用する必要性が明確になります。
不足人時を把握すると、採用の優先順位が変わる
このような人員不足を数値化する際に有効なのが「不足人時」という考え方です。
不足人時 = 不足人数 × 不足している時間
例えば、土曜日の18時から22時まで、必要人数が5名に対して配置可能な人数が3名であれば、不足人数は2名です。
この場合、4時間にわたって2名不足するため、不足人時は8人時となります。
実務では1時間単位などに区切って、必要配置人数と配置可能人数の差を計算し、正の不足分だけを合計すると、より正確に把握できます。
ただし、不足人時が20人時だからといって、週20時間働けるアルバイトを1名採用すれば解決するとは限りません。必要な時間帯が重なっていたり、複数の曜日に分かれていたりする場合は、それぞれのシフトを担当できる人数が必要になります。
不足人時は採用必要量を把握する指標であり、採用人数をそのまま決める数値ではないという点が重要です。
採用してもシフトが埋まらない3つの原因
1.勤務できる曜日・時間帯を確認せずに採用している
採用時に「週3日以上勤務できる方」という条件だけを設定していると、応募者の希望勤務日が実際の不足シフトと一致しない場合があります。
例えば、店舗が必要としているのは金曜日・土曜日の夕方以降なのに、平日午前中のみ勤務を希望する応募者を採用しても、必要なシフトを埋めることはできません。
もちろん、勤務条件が合わない応募者をすべて不採用にする必要はありません。今後の欠員予定や既存スタッフの勤務調整によって活用できる可能性もあります。
しかし、急いで解消する必要があるシフトが明確な場合は、その時間帯に勤務できるかどうかを採用判断の重要な条件として設定する必要があります。
2.必要な業務を担当できるスタッフが不足している
勤務可能な人数が足りていても、担当業務によって人手不足が発生するケースがあります。
例えば、小売店ではレジ対応、品出し、商品発注など、飲食店ではホール接客、調理、仕込みなど、業務によって必要な知識や経験が異なります。
土曜日の昼間に5名のスタッフが勤務していても、レジを単独で担当できるスタッフが1名しかいなければ、会計業務が集中する時間帯に対応できない可能性があります。
このような場合、単純に新しいアルバイトを採用するより、既存スタッフにレジ業務を習得してもらう方が短期間で改善できることもあります。
採用が必要かどうかを判断する際は、人数と勤務時間だけでなく、その時間帯に必要な業務を担当できる人材が何名いるかまで確認する必要があります。
3.採用直後のスタッフを戦力として計算している
アルバイトを採用しても、実際に店舗運営を任せられるようになるまでには一定の教育期間が必要です。
例えば、新人スタッフが採用直後から勤務できても、接客やレジ操作、調理などを習得するまでは、既存スタッフによる指導が必要になります。
特に繁忙時間帯では、新人スタッフの人数が増えたことで、教育担当者の負担が一時的に大きくなる場合もあります。
そのため、採用人数と実際に業務を担当できる人数は分けて管理する必要があります。
採用計画を立てる際は、勤務開始予定日だけでなく、必要な業務を単独で担当できるようになる時期も考慮しましょう。
不足シフトから本当に必要なアルバイトの募集人数を決める方法
STEP1.曜日・時間帯別に必要配置人数を設定する
最初に、店舗運営に必要な人数を曜日・時間帯ごとに整理します。
例えば、飲食店であれば、平日昼間、平日夜間、土日昼間、土日夜間などに分けて必要なスタッフ数を設定します。
このとき、店長の感覚だけで必要人数を決めるのではなく、来店客数、注文数、売上、作業量などを確認することが重要です。
例えば、平日昼間に必要な人数が3名で、土曜日の昼間は6名必要なのであれば、同じ時間帯でも必要な人員配置は異なります。
小売店であればレジ対応や品出し、コールセンターであれば時間帯別の入電件数や平均対応時間などを基準に必要人数を検討できます。
ただし、売上に比例して単純に人数を増やせばよいわけではありません。最低限必要な配置人数や、休憩時間を確保するための人員も考慮する必要があります。
STEP2.既存スタッフの勤務可能時間を整理する
次に、在籍しているスタッフごとに勤務可能な曜日・時間帯を確認します。
ここで重要なのは、契約上の勤務時間と、実際に勤務できる時間を区別することです。
例えば、週20時間の契約であっても、家庭や学校の事情によって特定の曜日に勤務できない場合があります。
反対に、現在は週10時間しか勤務していなくても、本人が希望しており、勤務条件の調整が可能であれば、勤務時間を増やせる場合もあります。
既存スタッフの希望を確認し、勤務可能時間を整理することで、新規採用しなくても解消できる不足シフトがないかを判断できます。
なお、シフト調整は本人の希望や労働契約の条件を尊重して行う必要があります。厚生労働省が2026年6月に改正した「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」も確認しておきましょう。
STEP3.不足する時間帯と担当業務を確定する
必要配置人数と既存スタッフの勤務可能時間を比較したら、実際に不足しているシフトを抽出します。
例えば、次のような管理表を作成します。
| 不足する曜日・時間帯 | 不足する配置 | 担当業務 | 必要な能力 |
|---|---|---|---|
| 金曜18〜22時 | 1名・4人時 | ホール接客 | 基本的な接客 |
| 土曜11〜15時 | 2名・8人時 | ホール・レジ | レジ対応を含む |
| 日曜17〜21時 | 1名・4人時 | 調理補助 | 仕込み・盛り付け |
| 合計 | 週16人時 |
※説明用の仮想例です。
この表を作成すると、単に「アルバイトが3名足りない」と考えるよりも、必要な勤務条件が明確になります。
例えば、金曜日と日曜日の両方に勤務できる人材を採用できれば、複数の不足シフトを補える可能性があります。一方、土曜日の昼間は同時に2名不足するため、1名だけでは解消できません。
こうした同時配置の条件も考慮しながら、募集人数を決める必要があります。
STEP4.不足時間を埋めるために必要な採用人数を算定する
不足人時が分かったら、想定する勤務時間を基準に必要人数を計算します。
例えば、週24人時の不足があり、新たに採用するスタッフが1人当たり週8時間勤務できる場合、単純計算では3名が必要になります。
必要人数の目安 = 不足人時 ÷ 採用予定者1人当たりの週勤務時間
ただし、この計算で分かるのはあくまで時間数から見た必要人数の下限です。
実際には、3名とも同じ時間帯しか勤務できなければ、一部のシフトが埋まらない可能性があります。また、応募者が勤務可能な時間帯や担当できる業務によっても、必要人数は変わります。
そのため、まず不足人時から必要人数の目安を算定し、その後に曜日・時間帯・担当業務の組み合わせで実際の必要人数を確認することが重要です。
ここまで整理して初めて、採用目標人数を設定する準備が整います。応募数や採用率から必要応募件数を逆算するのは、その次の工程です。
不足シフトに合わせてアルバイトの募集条件を設計する
「週3日以上」ではなく、必要な曜日・時間帯を明確にする
不足シフトが把握できたら、求人の募集条件に反映します。
例えば、金曜日・土曜日の18時から22時に人員が不足している場合、単に「週2日から勤務可能」と記載するだけでは、必要な時間帯に勤務できる応募者が集まるとは限りません。
そのため、募集条件では実際に必要な勤務時間帯を明確にすることが重要です。
「金曜・土曜の18時〜22時に勤務できる方を募集。週1日から相談可能」といった形で、必要な条件と相談可能な範囲を整理すると、応募者も自分の希望と合っているかを判断しやすくなります。
ただし、これは実際に週1日勤務を認められる場合の記載例です。求人内容と実際の労働条件に違いが生じないように注意する必要があります。
厚生労働省は、求人募集時の労働条件の明示を求めており、2024年4月からは従事する業務や就業場所の変更の範囲、有期契約の更新基準なども追加されています。
勤務時間の希望を伝えるだけでなく、必要な労働条件を正確に明示することが前提となります。
勤務条件を厳しくしすぎないことも重要
不足している曜日・時間帯を明確にする一方で、必要以上に募集条件を厳しくすると、応募対象となる求職者を狭めてしまう可能性があります。
例えば、土曜日の昼間だけが不足しているのに、「土日両日勤務必須」としてしまうと、土曜日のみ勤務できる応募者を対象から外してしまいます。
また、週8時間の勤務で不足を補える場合に、週20時間以上の勤務を必須とする必要があるのかも検討すべきです。
重要なのは、求職者に求める条件を増やすことではなく、不足シフトを埋めるために本当に必要な条件だけを設定することです。
募集条件を決める際には、絶対に必要な条件と、相談可能な条件を分けると判断しやすくなります。
例えば、土曜日の11時から15時までの勤務が必須で、その他の曜日は相談可能という設計であれば、必要なシフトを確保しながら、応募対象を過度に狭めずに済みます。
新規採用だけでなく、既存スタッフの勤務調整と教育も検討する
既存スタッフの勤務時間を調整する
不足シフトを整理した結果、特定の時間帯には余剰があり、別の時間帯には不足があることが分かった場合、まずは既存スタッフの勤務調整を検討します。
例えば、平日昼間に勤務しているスタッフが、本人の希望により土曜日にも勤務できるのであれば、新規採用を行わずに不足を補える可能性があります。
ただし、勤務日数を増やすことがスタッフの負担になったり、休日や学業、家庭生活に影響したりしないよう、本人の希望を尊重することが重要です。
JILPTが2023年3月に公表した「シフト制勤務」で働く非正規労働者の調査では、シフト制勤務群の31.6%が、具体的な勤務日をある程度余裕をもって示してほしいと回答しています。また、22.0%が、シフト決定に当たって労働者の希望を十分踏まえてほしいと回答しています。
この調査は2021年9月に実施された非正規労働者へのWebアンケートなどに基づくもので、現在のすべてのアルバイトに当てはまる数値ではありませんが、シフト運用では勤務予定の見通しと本人の希望が重要であることを示しています。
担当できる業務を増やすことで不足を解消する
不足しているのが単純な労働時間ではなく、特定の業務を担当できる人材である場合は、既存スタッフの教育が有効なこともあります。
例えば、レジ業務を担当できるスタッフが不足している場合、ホールや品出し担当のスタッフがレジ業務を習得することで、人員配置の柔軟性が高まります。
また、飲食店で調理補助とホール業務の両方に対応できるスタッフを育成できれば、時間帯ごとの業務量に合わせて人員を配置しやすくなります。
もちろん、専門性や安全性が求められる業務では、十分な教育と習熟確認が必要です。
こうした教育による対応が可能な場合、新規採用にかかる費用を抑えながら、人手不足を改善できる可能性があります。
採用後は「何名採れたか」より「不足シフトがどれだけ埋まったか」を確認する
アルバイト採用の成果を評価する際、採用人数だけを確認していては、本当に人手不足が改善したかを把握できません。
例えば、3名の採用目標に対して3名採用できたとしても、その全員が既に人員の足りている時間帯にしか勤務できなければ、採用活動の本来の目的は達成できていない可能性があります。
一方、採用人数が1名でも、その人材が人手不足の深刻な繁忙時間帯に継続して勤務できるのであれば、店舗運営への貢献は大きいと考えられます。
そのため、採用後は不足人時の変化を確認することを推奨します。
不足人時の解消率 =(採用前の不足人時 - 採用後の不足人時)÷ 採用前の不足人時 × 100
例えば、採用前に週40人時の不足があり、採用後に週16人時まで減少した場合、不足人時の解消率は60%です。
ただし、採用前後で営業時間や必要配置人数が変化している場合は、同じ条件で比較できるように補正する必要があります。
また、採用直後の新人スタッフがまだ担当できない業務については、教育の進捗も考慮する必要があります。
採用人数、勤務開始人数、不足人時の解消率、業務を単独で担当できる人数を組み合わせて確認することで、採用活動が現場の負担軽減につながっているかを判断できます。
まとめ|アルバイト採用は「人数」ではなく「必要なシフト」から考える
アルバイトを採用しても人手不足が続く場合、必ずしも採用人数そのものが不足しているとは限りません。
在籍人数が増えても、勤務できる曜日・時間帯が偏っていたり、必要な業務を担当できるスタッフが不足していたりすれば、現場の負担は改善しない可能性があります。
そのため、採用活動を始める前に、曜日・時間帯別の必要配置人数と、既存スタッフの勤務可能時間を整理し、不足する人時と担当業務を明確にすることが重要です。
そのうえで、既存スタッフの勤務調整や教育によって解消できる部分と、新規採用が必要な部分を分けて考えます。
アルバイト採用の目的は在籍人数を増やすことではなく、必要な時間帯に必要な業務を担当できる人員を確保することです。
株式会社ネオストナルでは、採用課題を応募数や採用人数だけの問題として捉えず、求人媒体の選定、募集条件の設計、応募後の選考、採用後の定着までを一連の工程として考えることを重視しています。
採用しても人手不足が解消しない場合は、広告費を増やしたり求人媒体を変更したりする前に、現在の人員配置と不足シフトを整理することが改善の第一歩となります。
参考データ
- 厚生労働省「令和8年版 労働経済の分析」第I部 第2章 雇用情勢の動向(2026年9月)(2025年の産業別人手不足感、労働者が不足する部門のある事業所割合などを参照)
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「調査シリーズNo.227 『シフト制勤務』で働く非正規労働者の実態等に関する調査結果」(2023年3月)(2021年9月実施の非正規労働者へのWebアンケートなどをもとに、シフト制勤務者の勤務実態とシフト運用に対する改善要望を参照)
- 厚生労働省「いわゆる『シフト制』について」(2026年6月改正の留意事項を含む)(シフト制勤務における労働条件の明示や適切な雇用管理について参照)
- 厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」(2024年4月1日から追加された求人募集時の労働条件明示事項を参照)
※記事内の店舗別シフト表、必要配置人数、不足人時、採用人数の例は、算定方法を説明するための仮想例です。実在企業の採用実績を示すものではありません。
